庭の虫の音


夏の夜は虫の鳴き声が気になる。今日は、その正体を探ります。

ところで、『吸血バッタ』って知っていますか?

小さい頃、赤味をさしているバッタ形の昆虫を、誰かが『吸血バッタ』って呼んでいたので、それからずっと、私は赤色を持ったバッタのことが、本当にこわいのです。

母に訊ねると「そんなバッタはいない」と。

調べてみたのがきっかけで、夏の虫の音の正体が分かりました。



私が常々「吸血バッタ」と呼んでいる昆虫は、クビキリギリスという名前。バッタ目キリギリス科ということで、キリギリスの仲間なのでした。

キリギリスといえば、イソップ寓話を基にした『アリとキリギリス』に登場する、音楽を楽しむことを知っている、私にとってはちょっとした憧れの存在。

では実際、キリギリスはどんな音楽を奏でるのか? というと‥‥あんまり素敵ではないのです。

クビキリギスの方は、私が「ジージー虫」と呼んでいる、あの鳴き声(羽音)で、ウィキ調べによると「電気の変圧器のよう」と表現されています。

初夏の夕暮れに「ジーーー」って声が聴こえてきたら、「今年も夏が始まった」って思う、あのジージー虫は、吸血バッタ=クビキリギスであることが判明しました!

確証ページ → 「ジーーー」夏の夜に鳴いてるあの虫の正体

あの吸血バッタとジージー虫が同一虫物だったとは。こんな偶然、面白いね。



ところで、私の昆虫好き嫌いの判断基準は、
「飛ぶか?(こちらへ体当たりしてくる可能性)」
「噛む・刺すか?(毒の有無にかかわらず)」
このふたつです。

だから、家蜘蛛さん(アダンソンハエトリグモ)とかは共生できるのですが、蛾やカナブンブンは体当たりしてくるので嫌い。これは昆虫のみならず人の性格でも同じく。

吸血バッタのクビキリギスは、雑食なので肉食もするとのこと。噛みつかれた状態で強く引っぱると頭が抜けるほど、強力な顎の持ち主。この話を知ると、和名・クビキリギス【首切螽斯】の由来もここからきていると想像できます。

バッタも噛むそうですが、キリギリスに噛まれるとかなり痛いようですから、吸血バッタじゃなくて安心したけど、やっぱり噛むんだ。



バッタとキリギリスの見分け方のかんたんな方法は、触覚の長さ。
短いのがバッタ。長いのはキリギリス。なんだって。



バッタもキリギリスも、草花を育てている人にとっては大敵です。ハダニとかと違って一目瞭然の体をしていますから、見つけたらやっつけるのが一番確実な駆除作戦。私だって、色んな虫をその時々で捕殺することもあるし、キンチョール噴射もしますが、なるべくなら生きて命を全うしてほしいと思う、この矛盾!

それをどうにかするには、「バッタやキリギリスの餌場となる雑草をこまめにお手入れすることで、他所へ行ってもらう」という対策案があります。反対にクビキリギスの鳴き声が好きな人は、雑草を茂らそう。ってことですね。



ちなみに、「ピッピッピッ」と可愛らしい電子音のような鳴き声を発しているのは、カネタタキという名前の、小さいコオロギのような虫なんだって。

オス同士が接近すると、鳴き声を変えて競うのだとか。体長は1センチ前後で、特に噛んだりするという記録は見つからなかったので、安心しています。
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